幻の「おんがくべんてん」

Filed under: General / 9月 16, 2011

天川村の天川神社は芸能の神様として有名だけれど、天川まで行くのも大変だし……。
一応ミュージシャンでもある私はソロ作の製作にあたり、手頃なところでなんかそういうパワースポットは無いかと思っていた。ま、実は早い話がそれは、ある。それは清盛七辨天のひとつ「おんがくべんてん」である。
『ナックルズ・ザ・タブー』誌上でも紹介し、かねてから神戸随一のパワースポットとして私が推している「れんあいべんてん」もこの清盛七辨天のひとつである事は言うまでもない。
他にも「べんきょうべんてん」「うんどうべんてん」「あんぜんべんてん」「けんこうべんてん」「おしゃれべんてん」がある。


一応ミュージシャンである私が「おんがくべんてん」を信仰するのは当然の理と言えよう。そういうわけで「おんがくべんてん」を目指して和田岬にある真光寺を目指した。真光寺自体は清盛塚のほど近くにある。踊り念仏で知られる一遍上人の廟所があり、踊り念仏=ダンス=音楽という繋がりからこちらに奉られるべんてん様を音楽と関連づけ、「おんがくべんてん」としたという。夜中に付近を通った事は度々あり、真光寺が広々とした寺である事はわかっていた。あこがれの「おんがくべんてん」を拝み、霊感を得て世界を席巻するヒットソングを作曲出来るに違いないと意気込み、昼間に改めてこちらに伺うにあたり、私は心を踊らせていた。
真光寺に着いた。「おんがくべんてん」の看板が出迎えてくれる。境内に入った。真光寺の境内は広い。ぶらぶら歩きながら「おんがくべんてん」を探すが見つからない。あれ?と思いつつこれだけ広い境内だからどこか陰になったところにあるのだろうかと思い再度探す。無い。
諦めきれずお寺の事務所に行って番をしているお母さんに「おんがくべんてんはどこか」と尋ねた。

「あぁべんてんさん?あれはもう和田宮さんへ返しました。べんてんさんのあれ、もう終わったんで」終わった?終わったてなんや。私はちょっとムッとして「でも看板ありますやん」「あぁ看板まだありますね(きまり悪そうに苦笑い)」……。
はぁ?である。はぁ?たしかに清盛七辨天のキャンペーンは終わったかもしれないけど、だからと言って信仰に終わりがあるのか?キャンペーンが終わったからって返すてなんや。いやしくも宗教施設なら地域に貢献する意気込みを見せてほしい。面倒くさくてやる気が無いなら最初からやるなと言いたいし、やめたならやめたで看板は下げとけと言いたい。この寺には広い墓所があり、要するにそれで充分なのであろう。なんとなく雰囲気も荒んどるよ。いや、ほんま。

世間もオウム事件の悪夢をようやく脱却しつつあり、「パワースポット」という切り口で従来的な宗教に対してオルタナティブな態度で接するという新たな精神的気運も、受け皿となるべき肝心のお寺の意識がこれでは……。ほんまパワースポッティング好きの気持ちがわからん宗教施設やね。これでは葬式仏教と言われても仕方ありませんわ。天理教やPLの方が真摯に努力しとるよ……。

仕方が無いから、というか気を取り直してミュージシャンとして改めて法然上人の廟所だけは拝ませていただき、踵を和田神社へすすめ改めて辯天像を拝みました。和田神社、初めて行きましたけどシャキっとした感じのナイスフィーリングでした。

さらに口直しとばかりに俺が大好きな奈良・鎌倉と並ぶ日本三大仏のひとつである兵庫大仏を拝みに能福寺へ。能福寺はいいわぁー。なんとなく南方の雰囲気が薫る庭があり、心和むことこの上無し。戦前の、頭が大きなファンキーな感じの大仏さんも見てみたかったですな。

ともあれ大河ドラマで『平清盛』もはじまる事ですし、「おんがくべんてん」どこかでちゃんと復活させてくれませんかね?ミュージシャンの端くれとして強く希望いたします。
ちなみに頭の悪い私が「勉強ができますように」との願いを以て「べんきょうべんてん」にもこっそり赴いたのは内緒だ。

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