横山、横山を登る。沼津にて…その2
念願であった横山登頂を目指し、ある程度の修行的要素も盛り込むべく、沼津アルプスの北行ルートを行きました。
歩いたルートは多比-大平山-鷲頭山-徳倉山-横山というコース。地図で見ると距離は8kmほど。時間にして5時間半かかりました。
沼津駅から多比までバスに乗って行き沼津アルプスの登山口を探しますが、全然見つかりませんでした。登山口を探す段階でかなり消耗しました。結局は辺りを笛を吹きながら自転車に乗って走り回っている地元の有名奇人っぽいおじさんに意を決して道を尋ねました。おじさんは警戒心をあらわにしながら、かなり素っ気なく、しかし的確に道を教えてくれました。
これで無事登山口にたどり着く事は出来たのですが、登山口まで行き着くまでの上り坂でもう既に「しまった!クソだるいやんけ!」と後悔が始まっていました。もちろんアルプスの1山目、南端の大平山に登る間中「やめといたらよかった!しもた!めっちゃしんどい!」と思っておりました。何だかんだ言っている間に息も絶え絶えで大平山に着いたのですが、後悔の次に私がしたのは野糞でありました。普段全く運動をせず、「便秘やねんけど…」と病院に行く度に先生に「運動不足でしょ?犬でも運動不足やったら便秘なりますよ。」と諭され続けている私。たしかに運動の効果はテキメン。今回ちょっと山に登っただけで一気にマグマが噴出!誰もいない事を良い事にサクッと快便を決めさせていただきました。
そこからはもう引き返す事もままならず、ダラダラと前に進むだけですが、とにかく思っていた以上にキツい!通に人気のコースとの事ですが、たしかにそれも頷ける結構本格的なルートが運動不足の私を追い込みます。市街地に近いにもかかわらず、ゴミ一つ落ちていない山道、果てしなく続く原生林、行く手を阻む急峻なアップダウン、しかも誰にもすれ違いません。結局道中会ったのはクロスカントリーの練習をしているかなり本格的な感じで山道を走るアスリート風の方と、最高峰の鷲頭山山頂の草刈りに来たプロ的な人の二人だけでした。思いのほか本格的な自然に一人囲まれ、昼の昼間にもかかわらずちょっと気味が悪くなる事もしばしばでした。と言うのも中将さんの切腹場とか対空壕とか、やや陰惨な歴史を思わせる遺構がところどころにあるのです。
ポイントポイントで富士山と駿河湾を眺め、無数の虫、花々、ヘビ等と遭遇しつつ息も絶え絶え、独り言をブツブツ言いながら歩みを進めて行きました。ロープ伝いに登り、ロープ伝いに下り、荷物を降ろして写真を撮り、孤独な道中でしたが、修行的な要素を盛り込み道中人生について思う事もあるかと思っておりましたが、しんどすぎてそんな余裕はまったくありませんでした。
そうこうしている間に横山の手前の徳倉山山頂に到着。いよいよだな、と思っていると今度はまたまた下りがめちゃくちゃ大変な道。それでも下りなければどうにもなりませんから転がる石の様に下まで下りたところでやっと横山峠というアタックポイントに到着。ここからがいよいよ横山ということになります。気を取り直し「いよいよここまで来たか。」と一人呟きアタック開始。横山に入山してほどなく季節外れのクワガタが私を出迎えてくれました。「クワガタ君。君も横山なのか?」としんどすぎて朦朧とした意識の中で問いかけたりしながらグズグズと山をよじ登って行きました。で、遂に私にとってのホーリーマウンテン、念願の横山単独登頂に成功!
とりあえず褌一丁になって身を清め、お香を焚いて現在過去未来にわたる全宇宙の横山に対して祈りを捧げました。
はるばる静岡まで来てしんどい思いもしましたが、それでも私に登るべき山があって良かった。
最後に道中私が詠んだ散文詩を掲載しておきます。
なぜ君は逃げるのか?
私は君を追いかけているわけではないのに。
(私が一歩踏み出す度に逃げ惑う虫達を見て。)